医療法人の破産 

はじめに

診療報酬の厳しい改定や、わが国の人口減少、最近のコロナ禍の影響によって、医療法人の経営は以前より厳しさを増しています。

赤字経営を続けていても、まだ、医療法人内に過去の利益があれば別ですが、銀行からの借入れに頼らざるを得なくなると、財産よりも負債の方が多くなるという最悪の事態が発生することもあります。

外来患者数は2025年、入院患者数は2040年をピークに減少に転じるとの予測がなされています。

静岡県でも2025年から外来患者数の減少が、入院患者数は2030年までは徐々に増加しますが、それ以降は減少に転じると予測されています。

いずれにしましても、静岡県内の医療法人をめぐる経営も徐々に厳しくなっていくものと思われます

又、後継者不足も顕在化し、後継者がいなければ閉院という事態も生じています。

医療法人の債務超過

最近の物価高や看護師等の人手不足は病院や医院の経営を圧迫しています。

物価高は原材料費の高騰を招き、人手不足は賃金の上昇につながります。

銀行から多くの融資を受けて開業したり、経営を継続していると債務超過に陥ることもあります。

将来の患者数の増加による医療収入の向上が見込まれる場合はあまり問題もないのですが、そうでないと医療法人の倒産ということもありえます。

こうした場合、法的にどのように対処したらよいでしょうか。

民事再生を利用した医療法人の承継

まず、最初に自己破産の申立てが考えられますが、患者や債権者の迷惑を考えると、破産の選択は避け、民事再生法による民事再生の検討を考えたらよいでしょう。

民事再生は、債務超過、又は債務の支払い不能、あるいはそのおそれがあれば静岡地方裁判所に申立てることができます。

民事再生を申立てるためには、手続期間中の資金繰りの目途がついていることや、医業の再生が可能であるとの見通しが必要になります。

民事再生の申立てが静岡地方裁判所に受理されると、借入金の返済や薬剤業者等への返済は一旦猶予されます。

医業の運営は従前の経営者がそのまま行うことができます。

但し、財産の処分等の重要な行為は、静岡地方裁判所が選任した監督委員(弁護士)の同意が必要となります。

医師や看護師、事務員等への賃金、税金等については、そのまま支払うことができます。

医業の運営に必要な仕入れは共益債権として継続して支払うことができます。

申立以前の債権を再生債権といいますが、申立人代理人の弁護士が作成する再生計画案の中で弁済額(例えば債権額の40%を免除し、残りの60%を10年間の分割によって支払う)を決め、債権者集会において再生計画案が可決され、静岡地方裁判所の認可を経て、この再生計画案は確定します。

あとは、これに従がい弁済を続ければよいのです。

民事再生の手続は医療法人の再建には最も適していると考えられますし、当事務所もこの方法による再建を強くお勧めします。

最後の手段としての自己破産の申立て

しかしながら、医業の継続についての将来の見通しもなく、破綻した医療法人のスポンサーになる者があらわれない場合には、やむなく自己破産の申立てを静岡地方裁判所にする必要があります。

この場合、医療法人を経営していた医師が医療法人の債務を連帯保証していたならば医師個人も自己破産の申立てをする必要があります。

個人破産をしても、医師資格は喪失せず、そのまま医師としての仕事は続けることができます。

真面目に医療法人の経営を続けていても様々な要因で債務超過に陥ることはあります。

この場合、当事務所は遠慮することなく自己破産の申立てをし、法人、個人共に債務のくびきから脱する選択をお勧めします。

それが医師としての再出発につながるものと確信するからです。 医療法人の赤字経営を余儀なくされている先生方がいらっしゃる場合には、50年近くの歴史を有し、破産法や民事再生法等の倒産法に精通している当事務所の弁護士にご相談下さい

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